コールセンターはテレワーク可能?
導入のメリット・デメリットを徹底解説!
こんにちは!楽テルコラム担当です。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、オフィスに出勤をせずに遠隔地で働く「テレワーク」が都市部の大企業を中心に急速に浸透しました。しかし業務の特性から、テレワークが現実的ではないと導入を見合わせる業種もあり、セキュリティやシステム面において課題が指摘されるコールセンターもそのひとつといわれています。
今回はコールセンターのオペレーターのテレワーク化を実現した企業の事例や、企業のBCP対策における役割をご紹介します。あわせて、テレワークを導入するメリットとデメリットやコールセンターのテレワーク化に不可欠なクラウドシステムをご紹介しますので、参考にしてみてください。
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目次
コロナ禍におけるコールセンターのテレワーク化(在宅勤務)とは?
新型コロナウイルスの急拡大により、社会全体のテレワーク導入が加速しました。そもそも、テレワークとは、「tele (離れた所)」と「work ( 働く)」をあわせた造語で、「情報通信技術(ICT技術)」を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことです。
自宅だけでなくカフェやホテルなどの外出先や勤務先以外のオフィススペースで、PCやスマホを用いて本社とつながりつつ業務を行うため、一般的に管理部門や研究開発部門、営業部門などはテレワークに適している職種とされています。
一方で飲食店や製造業など、テレワークに向いていないと考えられている業種もあり、コールセンターもテレワークが難しいと認識されている業界のひとつです。
コールセンターのテレワークの現状
コールセンターがテレワークに向いていないといわれる理由は、顧客の個人情報や顧客応対の企業ノウハウといった膨大な機密情報を扱うため、情報漏洩や情報の不正利用のリスクを伴うからです。さらに一般オペレーターとスーパーバイザーの連携が弱まることによって応対品質が低下することを危惧する声が根強いことも、コールセンターのテレワーク化の課題です。
しかし新型コロナウイルスの影響に限らず、大規模な自然災害など、企業がコールセンターのオフィスを維持できなくなる事態はいつ起こるかわかりません。企業はどんな状況でも事業の継続を目指す必要があるため、平時から「BCP(事業継続計画)」を想定しておくことが大切です。顧客と企業をつなぐ重要な役割をもつコールセンターの危機対応は、企業の社会的責任としても重要な業務といえます。そんな中でコールセンター業界はオペレーターの確保に苦戦していますが、オペレーターのテレワーク化が実現すれば、人材確保の足がかりになるかもしれません。
実際に、業界全体がコールセンターのテレワーク導入を急いでいることがデータとしても表れています。
「2022年度コールセンター企業実態調査」(一般社団法人日本コールセンター協会調べ)では、在宅テレコミュニケーターの採用を「予定なし」と答えている企業が2019年度には約7割もありましたが、2022年度には約3割にまで減少しています。また、すでにコールセンターのテレワークを採用している企業を見てみると、2019年度には3社(54社中)にとどまっていましたが、2022年度には13社(41社中)に急拡大しました。
このように、新型コロナウイルスの拡大前の2019年度と、感染拡大が長引き社会全体がビジネスモデルや従業員の働き方の見直しに取り組むようになった2021年度を比べると、企業がコールセンターのテレワーク導入に向けて実際に行動していることがうかがえます。
参考:2022年度コールセンター企業実態調査|一般社団法人日本コールセンター協会
コールセンターをテレワーク化するメリット
コールセンターのテレワーク化には、さまざまなメリットがありますが主なものを3つ挙げました。
コスト削減になる
テレワーク化が実現すると、コールセンターオフィスのための物件確保や設備投資などの初期費用、ランニングコストが不要となります。オペレーターに支給するPC・ヘッドセット等のハードウエアを支給するための費用はかかりますが、コールセンターオフィスを設置することと比較すると大幅なコスト削減が可能になるでしょう。
人材確保がしやすくなる
人材確保の面でも、大きなメリットが想定できます。オペレーターがコールセンターオフィスに通勤する必要がないので、繁忙期の人員増強の際にエリアを問わず採用募集をかけることができるようになります。働く側としても勤務地に制限がないテレワークならプライベートとの両立をはかりやすいので、キャリアの中断や退職などを選択せずに済みます。家庭の事情や身体的な問題を理由に離職せざるを得なかった人も、自宅で可能な限り働くことを選択できるかもしれません。企業側からすれば、結果的に、優秀な人材の確保にもつながります。
非常時でも運営できる
新型コロナウイルス以外にも、企業が遭遇する「非常時」はあります。大型台風やゲリラ豪雨、大雪など、自然災害はいつ起こるかわかりません。そのような事態によって交通網が滞ると、コールセンターオフィスへの出勤が難しくなります。そこでテレワークが機能していると、オペレーターの安全・安心を最優先にしながらも、コールセンターの事業継続を実現できます。
物理的なオフィスでは、自然災害時に限らず、機材の故障や通信障害といった何らかのトラブルによってコールセンター機能が稼働しなくなるおそれもあります。そのような際にも、在宅のオペレーターが役目を果たすことができれば、コールセンター機能を停止しなくても済みます。
コールセンターをテレワーク化する際の注意点
これまで「コールセンターのテレワーク化は難しい」といわれてきたように、テレワーク導入・運営にあたって注意が必要な点もあります。主な注意点について5つご紹介します。
情報漏洩などセキュリティリスク
まず注意が必要なのがセキュリティ面についてです。防音壁やセキュリティ設備が備わったコールセンターオフィスとは異なり、在宅の場合は通話内容の傍受やデータ漏洩といった危険が伴います。リスクを低減する一例として、セキュリティ対策を講じたデバイスをオペレーターに支給する方法等が挙げられます。
緊急時などの対応フロー
テレワーク中のオペレーターは物理的に離れた場所で働くため、すぐに他の担当に電話を取り次ぐことが難しくなります。自分の担当ではない問い合わせ内容や、深刻なクレームなどへの対応が素早くできないというリスクもあり、もし顧客への対応が遅れてしまえば顧客満足度低下の要因となります。
教育フローの整備
コールセンターが大規模拠点なのか遠隔地に分散したテレワークなのかは、問い合わせをする顧客にとっては関係のないことでしょう。「テレワークだから」と顧客対応品質が劣るのは許されることではありません。
オペレーターが一ヶ所に集まって勤務するコールセンターオフィスと違って、勤務地がバラバラなテレワークでも、オペレーターへの監督・指導が十分に行える教育フローの整備が求められます。
状況を把握するためのシステム整備
スタッフが顔をあわさせずに勤務するためスーパーバイザーの管理が行き届きにくく、オペレーターはちょっとした相談や意見がしにくい状況に陥りやすいです。孤独を感じながらの顧客応対は心理的負担も増え、業務に支障がでることもあるかもしれません。さらにオペレーターの勤怠状況を把握しづらいこともテレワーク体制における組織管理の難しさの一因と考えられます。
労務や採用など、社内フローの整備
労務管理や採用活動といったマネジメントに関する社内フローの整備も必須です。
オペレーターの勤務態度が怠慢になっていないか、もしくは過剰に働きすぎていないかなど、在宅勤務でも適正な働き方ができているかを管理・監督することが必要となります。
また遠隔地勤務を希望するオペレーターの採用活動は、リモートで行うケースが多いでしょう。リモート面接に準じた採用ステップを、事前に構築しておかなければなりません。
コールセンターにおけるテレワーク(在宅勤務)の事例
コールセンター業務において、テレワークを導入している事例を3つご紹介します。
「チューリッヒ保険」での導入事例
この度の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「緊急事態宣言」が発令された翌日の2020年4月8日、スイスの保険大手「チューリッヒ保険」の日本法人では、コールセンターオフィスで働いていた500人ものオペレーターの全面在宅化を実現させました。
まずテレワークを行うオペレーターに対し、企業から業務に欠かせないハード機器(通話用ヘッドセット、パソコン、Wi-Fiルーター、スマートフォン)を貸与し、就業環境を整えるための補助金も用意しました。
コールセンターのテレワークの課題のひとつであるセキュリティ対策についても、通話内容の暗号化などの対策が講じられています。
参考:コールセンター500人の全面在宅化を実現、チューリッヒ保険の神危機対応
「サイボウズ」での導入事例
大型台風の影響をきっかけに、ソフトウェア開発会社の「サイボウズ」でもコールセンターのテレワーク化が進みました。コールセンターの窓口を一部縮小して、クラウドの電話システムを整えて社員が自宅で電話を取れるようにしたそうです。
一般のオペレーターと管理者であるスーパーバイザー間のコミュニケーションにはグループウェアとチャットを併用し、顧客応対品質の維持にも配慮されています。
「エレクトロラックス・プロフェッショナル」での導入事例
業務用電気製品メーカーの「エレクトロラックス・プロフェッショナル」は、コールセンターの在宅化をスモールスタートで早期実現しました。
これまでは物理的に設備をつなぐ必要のあるインストール型のCRMシステムと電話を理由に、社内でコールセンターだけ在宅化が遅れているという状況でした。クラウド型の電話システムはBIZTELを導入することが決まっていたため、CRMシステムは「コンパクトな機能で在宅化をスピーディーに始めたい」という条件でベンダーを検討し、楽テルを採用することになりました。
在宅コールセンターを組織するにあたり、機能や詳細設定がどれだけ必要になるか事前に絞り込むのは難しいでしょう。あらかじめ多くの機能が盛り込まれているシステムを選びたいところですが、そのために高価になり、遠隔地で働くことになるオペレーターが使いこなすにも不安が伴います。その点、カスタマイズ性の高いCRMシステムの楽テルなら、コールセンターシステムの最小限の機能を安価で導入でき、運用しながら自社にあった仕様に機能を設定できるので、オペレーターにとっても使いやすいことから、スピーディーに在宅化が実現しました。
参考:エレクトロラックス・プロフェッショナル・ジャパン株式会社事例
コールセンターを在宅化するための流れ
コールセンターのオペレーターが在宅でも勤務できるようにするためには、下記のような流れが必要です。
現状を把握する
在宅化にあたっては、まずコールセンターの現状を調査し、可視化するところから始めます。使用中のシステムや業務内容、オペレーションなどを把握し、自社がすぐにテレワークに踏み切れる状況かを判断します。
加えて、在宅化のための費用感や規模について検証します。対策すべきリスクの把握やシステムを提供するベンダーの調査も含めて、在宅化までのシナリオをいくつか想定しておくと良いでしょう。
承認フロー、教育フローなどの整備
遠隔地で働くオペレーターへの申請、稟議、承認、決済といったワークフローや、研修や応対評価、面談といった教育フローなどは事前に整備しておきます。
スーパーバイザーや同僚がすぐそばにいるオフィスとは異なり、在宅で働くオペレーターは基本的に一人で勤務することになります。円滑な業務推進にあたっては、どのようなフローに則り、どのようにコミュニケーションすれば良いかを、管理者とオペレーターの双方の共通認識にしておく必要があります。
テレワークのためのシステム準備
コールセンターのテレワークを円滑に運営するには、システム整備が重要なポイントになります。
コールセンターシステムには、電話とパソコンを連携する「CTIシステム」、オペレーターがオフィスの電話回線にアクセスできるようにする「PBX」、顧客管理のための「CRMシステム」などがあり、これらのパッケージ商品も存在します。
オペレーター側の労働環境整備としては、どのようなデバイスやネットワークを利用するかがポイントです。主に「オフィスのPCを自宅に持ち帰り操作」「自宅のPCで、オフィスにあるPCを遠隔操作」「自宅のPCで、オフィスのサーバー上の仮想PCを遠隔操作」「クラウド上のシステムを操作」といった4つの方法が考えられます。
価格はもちろん、機能拡張性、セキュリティ面などの多角的な観点から考慮し、システムを選定しましょう。
まとめ
課題の多いコールセンターへのテレワーク導入ですが、クラウドシステムを活用すればBCP対策だけでなく多くのメリットを得られます。コールセンター機能が充実したクラウドシステムのなかにも顧客管理に優れたものや、既存のシステムと連携して使えるものなどさまざまなシステムがあります。自社のコールセンターの規模や業務の内容に合っているかをポイントに、ぜひ検討してください。
楽テルでコールセンターのテレワーク化を実現した事例を見る関連記事はこちらコールセンターシステムとは?導入するメリットと選ぶポイント
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楽テルコラム編集部
リスティング広告やFacebook広告の運用、プロダクトサイトのSEOなど、広くWEB施策に携わっています。前職では、世界トップクラスのシェアを誇るCRMシステムの導入支援を通して、様々な企業の業務改善に尽力していました。
楽テルのコラムではコールセンターやインサイドセールスにおける業務効率化・顧客満足度向上などの例をご紹介していきます!
好きな料理は「スパイスカレー」です。