感情分析をコールセンターで活用する|実施メリットと課題とは
こんにちは!楽テルコラム担当です。
AI技術の発達により、テキスト、音声、映像から読み取れる顧客の感情の分析精度が高まっています。AIによる感情分析は途上であり、課題はあるにせよ今後一層の発展が期待できそうです。今回はコールセンターで感情分析を実践するメリットについて解説します。
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目次
AIを使った感情分析とは
近年利用されるようになった意味合いの「感情分析」は、人間の感情や気持ちの変化をAI(人工知能)が読み取り、解析することを指します。
社会でのコミュニケーションにおいて「空気を読む」といったことが重要視されてきたように、人の感情や気持ちを読み取ることは機械では難しく、人間だからこそできることとされてきました。
しかし、IT技術の進化に伴って解析能力が向上し、テキストや音声、映像などのデータから「感情」を仕分けることが可能になってきました。
現時点の感情分析では、ポジティブまたはネガティブといった両極の感情や喜怒哀楽、好意または悪意といった気持ちの分析や、感情レベルを数値で表現する技術などがあります。
感情分析AIの仕組み
基本的にAIは機械学習であり、AIに学習用のデータを蓄積することによって正確に感情を分析できるようになります。そのため、集積するデータ量が多いほど精度は高まります。そしてクラウドサービスの登場により多くの情報が一元管理できるようになり、AIの分析対象となるデータも飛躍的に増加しています。
これらのことから、今後より高度な感情分析が実現していくと考えられます。
関連記事はこちらAIをコールセンターシステムに活用できる?コールセンターの人工知能活用について紹介します!
感情分析AIでできること
感情分析では、テキスト、音声、映像などが分析の対象となります。それぞれの特徴について解説します。
音声からの感情分析
発言内容そのものではなく、声の音量、トーン、速さといったニュアンスから感情を読み取ります。「声色」と言うように、声には発言者の感情が表れやすいものです。つまり、発言とは全く逆の感情を得られる場合があるということです。
テキストからの感情分析
文章やテキストから感情分析を行うことができます。テキストの中に多用している単語や言葉の言い回しなどから、執筆者がどんな感情で書いたかを読み取ります。
現代社会では、TwitterやInstagramといったSNSにおいて個人がテキストで自分の考えや思いを発信する行為が日常的になりました。そして日々膨大な数の投稿が途切れることなくアップされています。
このようなテキストから、商品・サービスへの感想だけでなく、潜在ニーズや企業の考えとのギャップといった消費者の生の声を引き出すことが可能です。
例えば、現在のスマートスピーカーは人の発言内容を聞き取って作動していますが、より高度な声の感情分析技術が加われば、本音に近い要望を解析した反応が期待できるようになるでしょう。
映像・表情からの感情分析
顧客の顔の表情や仕草、視線の動きなどを映像から読み取り、感情分析を行うことも可能です。
例えば、店内カメラの映像から、顧客の感情の動きを知ることなどが挙げられます。
コロナ禍に非接触営業が推奨されるようになってから、映像を通して顧客と対峙する場面も増えました。リモートでの営業をさらに拡大していくために、映像での感情分析が多用されるようになるかもしれません。
コールセンターでの感情分析AIの活用方法
コールセンターでの感情分析AIの活用方法には、主に次の2つがあります。
通話中の相手の感情をリアルタイムに分析する
音声を通じて感情分析を行うことで、通話中の相手の感情をリアルタイムに分析できます。
相手がどのような感情を抱きながら通話しているのかをAIの力を借りて把握することができれば、オペレーターだけの「主観」で対応するよりも、さらに相手の感情に寄り添った電話対応ができると考えられます。
通話終了後の音声データから分析する
通話中だけでなく、通話が終了した後に録音された音声データから感情分析を行う活用方法もあります。
相手がどのような感情をもって通話にあたっていたのかを通話後に分析することで、対応が適切だったのかを振り返ることができ、今後の対応品質向上をはかれます。
コールセンターに感情分析AIを導入するメリット
企業の最前線で顧客と接するコールセンターに感情分析を導入すると、さまざまなメリットが得られます。ここでは主なメリットを3つご紹介します。
将来的なクレームの予防
コールセンターに感情分析を取り入れると、顧客が言葉にしていない「より深い感情」をも読み取ることができる可能性があります。
例えば、オペレーターが顧客の言葉通りに機械的に反応してしまうと、不安や怒りといったネガティブな感情を見逃す恐れがあります。
通話中に顧客の感情を検知できれば、オペレーターは「わかったと言っているが本音では不満に思っている」「対応に感謝し本当に喜んでいる」などと顧客の発言内容だけでは読み取れないより深い感情を客観的に把握できるようになるかもしれません。
ただ、感情分析はまだ発展途上のIT技術です。
一般的に多くの企業が取り入れるほど普及しておらず、複雑な感情の検知や、分析の精度についても技術が安定しているとは言い切れません。普及率が上がるほどに技術も向上することが期待できますが、現時点では導入のタイミングが難しいと感じる企業は多いかもしれません。
そのほかに、個人情報保護法の観点からも不安が残ります。顧客の個人情報と個人のカメラ映像や音声を結びつけて業務改善に活用した場合、顧客に対して事前にどのような承認を得ておけば良いのかなど、専門家などに意見を求める必要があるでしょう。
オペレーターの心理的ケアや離職防止
コールセンターのオペレーターは、自分の感情は抑えながらも顧客の感情に向き合わなければならない精神的負荷の大きい職種です。通話中の顧客側ではなく、オペレーターの声からストレスの度合いを測ることができれば、心理的なケアに活用できるでしょう。
管理者によるモニタリングに感情分析を取り入れることで、オペレーターがどれくらいストレスを感じているかを把握できます。高いストレス反応が出ている時に、スーパーバイザー(SV)がタイムリーなアドバイスを行ったり、顧客との会話を振り返って後からフォローしたりなど、オペレーターのメンタルケアに役立てることが可能です。
顧客対応レベルの向上に生かせる
前述で紹介したように、「より深い顧客感情を探る」ことはオペレーター自身が顧客の心を慮る能力を育み、「オペレーターの心理的ケア」は心の余裕を生むことにもつながります。
加えて、不安や怒りの感情が濃く表れている顧客の対応はSVが引き継ぐなど、現場での柔軟な対応もしやすくなります。
結果として、顧客一人ひとりの気持ちに寄り添うことができ、顧客対応レベルの向上を目指せるようになるでしょう。
コールセンターに感情分析AIを導入するデメリット
前述のようにコールセンターに感情分析AIを導入すると多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットもあります。ここでは、代表的な3つのデメリットについて解説します。
導入コストがかかる
感情分析AIを導入するためには、初期費用や月額費用などの導入コストがかかります。自社のコールセンターに感情分析AIの導入を検討する際は、事前に費用対効果を十分に考慮した上で、導入メリットが導入コストを上回るかどうかを慎重に判断することが大切です。
特にシステムの複雑性が高い感情分析AIは、数百万円から数千万円の高額な導入費用がかかる場合もあります。導入に失敗すると大きな損失につながる可能性もあるため、導入前の十分な見極めが必要です。
マニュアルの見直しが必要になる
感情分析AIを導入するのであれば、現在のコールセンターの業務フローを明らかにした上で、感情分析AIを組み込んだ新たな業務フローを再構築する必要があります。オペレーター向けのマニュアルも見直さなければならないため、マニュアル作成のための手間や人件費、オペレーターの教育費用などが発生します。
現場の運用が変更されると軌道に乗るまでのオペレーターの負担が増加する可能性があるため、負担を最小限に抑えるためのフォローも必要不可欠です。
複雑な感情の分析はまだできない
感情分析AIは、AIが相手の感情を読み取って分析するシステムです。しかし、現在の技術では複雑な感情の分析は正確に行えません。
喜怒哀楽のようなわかりやすい感情を把握して対応することはできますが、複数の感情が織り交ぜられている場合は正確に分析できず、適切な顧客対応が行えない場面もあります。
細かい機微に対応しなければならない現場では、人間を配置せざるを得ないケースもあるでしょう。
コールセンターで活用できるAI感情分析の事例
近年では、国内でもさまざまなサービス・製品でAI感情分析が導入されています。ここでは、コールセンターで活用できるAI感情分析のサービスを3つご紹介します。
エムシス オムニス
エムシス オムニスは、丸紅情報システムズ株式会社が提供しているコンタクトセンター向け音声テキスト化サービスです。 さまざまな機能を持っていますが、その中のひとつに感情分析機能があります。対話のセンテンスごとの感情を「平静」「喜び」「怒り」「悲しみ」でそれぞれスコアリングできるほか、オペレーターの「元気度」も数値化することが可能です。
ESAS CC
ESAS CCは、コールセンターのビッグデータにより実証された豊富な知見による感情解析サービスです。エネルギー、ストレス、集中、期待、思考等、20種類以上の感情パラメータを搭載していて、リアルタイムでお客様の感情を可視化することが可能ということです。
熊本大学との共同研究を通して顧客満足度向上や従業員の離職防止につなげるためのソリューションを探求している、コールセンターに強い感情分析のサービスといえるでしょう。
AIさくらさん
AIさくらさんは、ティファナ・ドットコムが提供するAI・アバター接客クラウドサービスです。労働力不足をカバーし接客品質の低下を防ぐために多くの現場で活用されており、カメラで撮影された画像やマイクから取得した音声から感情の変化を推測できる機能を持っています。
接客システムとして顧客満足度の向上のために活用できるのはもちろん、テレワークや在宅勤務をしているオペレーターのメンタルヘルスケアへの活用も勧められています。
まとめ
企業に対する顧客感情の受け皿とも言えるコールセンターは、日々顧客の発言と感情に向き合っています。キャリアのあるオペレーターだとしても、電話や画面越しの顧客の感情を読み誤ることもあるでしょう。
AIによる感情分析を業務に取り入れれば、客観的な顧客感情の把握に役立てることができます。今後の感情分析技術の成長に期待しましょう。
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記事執筆者情報
楽テルコラム編集部
リスティング広告やFacebook広告の運用、プロダクトサイトのSEOなど、広くWEB施策に携わっています。前職では、世界トップクラスのシェアを誇るCRMシステムの導入支援を通して、様々な企業の業務改善に尽力していました。
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好きな料理は「スパイスカレー」です。