IVR(自動音声応答)とは?
コールセンターに導入するメリットと注意点をおさえよう!
こんにちは!楽テルコラム担当です。
現在、さまざまなコールセンターがIVR(自動音声応答システム)を導入しています。IVRという言葉を初めて聞いたという方も、なにか電話にて問い合わせをした際に「~の方は1を、~の方は2を押してください」という案内を受けた経験がありませんか?多くのコールセンターで導入されていることからもわかるように、コールセンター業務においてIVRのメリットは多くあります。しかしその一方で、注意しておかなければならない点もいくつかあります。今回はそんなIVRでできることと、IVRが必要とされる背景、メリット・デメリット、導入のポイントと注意点をご紹介します。導入を検討される際に参考にしてみてください。
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目次
IVRとは?
IVRとはINTERACTIVE VOICE RESPONSE の略で、日本語では「自動音声応答システム」と訳されます。特定のルールに従ってオペレーターに着信を分配するACD(自動着信振り分け)と混同されがちですが、それとは異なるシステムになります。従来はキーパッドで操作するものでしたが、最近ではAIによる音声認識を利用した方法も登場するなど、より進化を遂げているといえます。IVRを導入すると、コールセンター人員が直接対応しなくても良いような定型的な問い合わせを自動的にこなすことができる、また業務時間外の問い合わせ対応が実現できるなど、業務効率化が期待できます。
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VRUとの違い
IVRと同じ文脈で使われる言葉に、「VRU」があります。VRUは、VOICE RESPONSE UNITの略で、「音声応答装置」のことです。がサービスそのものであるのに対し、VURは入電を管理してデータを保管する「ソフトウェア」なので、厳密には異なる意味合いとなります。
IVRでできること・導入する目的
IVRではどのようなことができるのでしょうか。ここでは3つピックアップしてご紹介します。
対応オペレーターへの振り分け
一般的なコールセンターでは、よくある質問から専門的知識を要する問い合わせ、対応の難しいクレームまで、さまざまな顧客からあらゆる内容の連絡を受けます。全てのオペレーターが、どのような案件でも十分に答えられるわけではありません。
IVRの自動音声なら、新人やベテラン、専門担当者といったキャリアやスキル、担当領域に合わせてコールを振り分けることができます。これにより、顧客への対応品質を高めるだけでなく、オペレーターの業務負担の軽減、ひいては離職率の低下も期待できます。
時間外でも対応できる
IVRの設定次第では、営業時間外であっても自動音声で電話受付ができるようになります。資料請求や退会のような問い合わせなら、定型的な回答で解決することも可能です。お客様が困っているときにその場で解決できるという環境は、顧客満足度にも良い影響を与えるでしょう。加えて、今まで有人対応だった受付時間を短縮し、それ以外をIVRで受け付けることで、人件費削減にもつなげることができます。
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折り返し連絡の受付案内
応答できるオペレーターの数が足りずに着電を取りきれなかった場合、お客様は電話がつながるまで保留にされるため、「いつまで待てばいいの?」と不満を募らせます。
IVRを導入していれば、留守番電話と同じような機能を使用することが可能です。手順としては、一定時間保留してお待たせしたお客様に対して、折り返し連絡する旨を自動音声で案内し、連絡先などの登録を誘導します。そのうえで、後にオペレーターの方から電話で連絡を入れるという流れです。
お客様に折り返し連絡することを案内しておけば、無用にお待たせすることがありません。加えて、応答率の低下を防ぐこともできます。
IVR導入によるメリット
多くのコールセンターが導入しているIVRですが、具体的なメリットはどのようなことなのでしょうか。数多くあるメリットの中から主な6点をご説明します。
顧客満足度の向上
同じコールセンターに勤めているオペレーターであっても、そのスキルには個人差があります。例えば研修中の新人とベテランでは、対応できる範囲もそのスピードも違います。しかしながら、このことによって不十分な対応をすると、満足度の低下につながりかねません。このような場合にIVRを使用すると、問い合わせの内容とオペレーターのスキルを紐づけして、対応できるオペレーターに優先的に電話をつなぐことが可能になります。あるいは、対応ができないオペレーターへはつながないように設定することも可能です。これによって顧客満足度の向上が期待できます。
応答率の向上
IVRは、応答率の向上にも役立ちます。例えばコールセンターに電話をしたとき、呼び出し音が鳴り続けてつながらないままだと「電話番号が合っていないのかな?」とお客様は不安になり、次第に「いつまで待てばいいの!」と不満が大きくなっていきます。このように、応答率が低い状態は顧客にとって良い状況ではありません。
さらに、コールセンターには繁忙期と閑散期があり、月や時間によっても着信件数に差が生まれます。災害時やリコール発生時など、予期せず着信数が増える場合もあります。そのため、着信に対応できるオペレーターが不足してしまい、どうしても全ての電話を取りきれない時間があるのが現実です。
そこで、オペレーターが電話を取りきれない状況のときにIVRを流せば、お客様はその音声を聞いてひとまず「つながった」と安心するでしょう。オペレーターが折り返し電話をするという音声案内を流せば、お客様を長時間待たせることなく一度電話を切ることもできます。もしくは営業時間外であることを伝えれば、お客様を長時間待たせる必要もなくなります。
他にも、オペレーターへつなぐための保留音をキャンペーン告知の音声にすれば、お客様をただ待たせるだけでなくお得な情報を提供することができます。
有人対応の効率化
大きな規模のコールセンターであっても、人員は有限です。オペレーターがお客様と直接話さなくとも解決できる問い合わせばかりに対応していると、有人対応が必要な細かな問い合わせに割く時間や、オペレーターのリソースもなくなってしまいます。このような現場にIVRを導入すれば、有人対応するべき案件なのか自動対応で十分なのか、自動振り分けが可能になります。これによりオペレーターは本当に必要な案件に集中できるのでコールセンター全体の効率化が見込めます。
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オペレーターの離職防止
オペレーターの早期離職も、コールセンターが抱える大きな課題です。キャリアのないオペレーターにはビジネスマナーからの研修が必要ですし、過去にオペレーターの経験がある人でも、事業内容によっては業界の知識などを習得するための期間を要します。こうしたオペレーター教育を軽視すると通話相手のユーザーに不満を与えてしまいますし、オペレーター自身にとってもストレスとなります。
IVRの導入により、簡単な問い合わせのコールは新人につなぎ、特殊な要望やクレームの多いユーザーからのコールはベテランにつなぐことが可能です。これにより、オペレーター一人ひとりの心理的負担を軽減します。コール全体の生産性向上にもなり、コールセンター全体の士気も上がるでしょう。
リソース不足の解消
多くのコールセンターが抱える慢性的な課題として、オペレーター不足が挙げられます。IVRを導入することで、限られたリソースでの顧客対応を可能にします。
コールセンターのオペレーターは、休む間もないコール対応や理不尽なクレームへの処理など、心理的ストレスがかかる職種です。応対品質を高めるには、商品・サービス知識の習得や高度なトークスキルも求められます。そのため離職率が高く常に人材不足の状況にあることから、現場に残されたオペレーターはさらなるストレスを抱えてしまうという悪循環に陥りがちです。
IVRの自動音声によって、担当オペレーターにコールを振り分けたり、オペレーターによる有人対応の時間を短縮したりできるようになるので、少ないオペレーターでも顧客対応のパフォーマンスを上げられるようになります。
24時間365日対応できる
IVRの大きなメリットは、コールセンターの電話受付を24時間365日体制にできることです。顧客がコールセンターに電話をかけた際にコール音だけが鳴り続ける状況と比べて、自動音声であってもアナウンスを流すと安心感を与えられるでしょう。さらに、資料請求や解約といった簡単な手続きまで済ませることができれば、改めて受付時間に電話をする手間も省けます。企業にとって、時間や曜日に捉われず顧客対応ができるという柔軟なサービス体制のアピールにもつながります。
IVR導入によるデメリット
コールセンター業務の効率化に役立つIVRですが、デメリットにも目を向けておきましょう。
担当者につながるまでに時間がかかる
IVRのガイダンスでは、お客様の問い合わせ内容に沿って選択肢の中から番号をプッシュしてもらい、対応を振り分けます。選択肢や階層が多い場合、お客様は長々とガイダンスを聞くことになるためもどかしさを感じ、途中離脱してしまうかもしれません。クレームや疑問など、はじめから担当者と会話をした方が早い要望の場合でもガイダンスを聞かなければつながらないため、お客様のストレスが増幅するおそれもあります。
ガイダンスの内容がわかりづらい
「IVRのガイダンスを聞いても、どの番号をプッシュすればいいかわからない」という経験をしたことはないでしょうか。わかりにくい選択肢を設定したためにお客様にガイダンスを聞き直させることになると、IVRに対してだけでなく企業そのものへの不満も募らせるおそれがあります。そのためガイダンスで使う用語や構成フローは、お客様にとってわかりやすいものでなければなりません。顧客視点で十分に検討する必要があります。
操作時間が長くなりやすい
お客様がガイダンスの選択肢の判断を誤ってしまうと、質問したい内容の担当ではないオペレーターにつながってしまいます。会話がはじまってからオペレーターがその間違いに気づくと、担当者に転送するなどの無駄な時間をかけることになり、ただお客様を待たせてしまうことになります。お客様は「たらい回しにされた」と不満をもってしまうかもしれません。加えて、お客様が番号を単純に押し間違えた際にもガイダンスを聞き直したり、電話をかけ直したりする手間が発生してしまいます。
「その他」の問い合わせが増えやすい
自動音声に提示される選択肢に、問い合わせたい内容に合致するものがないというときがあります。こうなると結局オペレーターが直接対応せざるを得ませんし、顧客も無駄な時間を使わされて不満を募らせることも考えられます。案内や選択肢は慎重に決定しなければなりません。
IVR導入時のポイント
IVRの導入ポイントは4つあります。
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メニュー番号と階層に注意
用件によって振り分けるメニュー番号や階層は、少ないほどいいです。番号が多すぎると、お客様は何番を押せばいいか忘れてしまい、ガイダンスを最初から聞き直さなければならない場合もあります。さらに階層が深くなりすぎる場合も、お客様に何度も番号を選ばせることになります。これらはいずれもお客様の不満につながる要因です。
音声ガイダンス時間を短く
IVRの音声ガイダンスは、ご挨拶や録音の断りなどを含めるとある程度の秒数は必要になります。しかし長すぎてなかなか本題に入らないでいると、時間とともにお客様のイライラを募らせてしまいます。言葉遣いが丁寧すぎていないか、話し方のスピードは適切かなどを鑑みて、できるだけ短くする工夫が必要です。
音声ガイダンスのセリフをわかりやすく
IVRシステムの振り分け機能があっても、誘導する音声ガイダンスのセリフがなにを言いたいのかわかりにくいと、お客様は「私は何番を押せばいいの?」と迷ってしまいます。お客様の立場に立ち、セリフを精査しましょう。
オペレーターにつなぐメニューを用意する
コールセンターの効率化をはかるのが目的でIVRを導入するとはいえ、全てを音声ガイダンスでの対応で済ませてはいけません。必ずオペレーターに直接つなぐメニューを用意しておきましょう。お客様はいつでも解決したい課題が明確であるとは限らないため、オペレーターに直接つなぐメニューを用意して、どんな問い合わせにも応えられるようにしておきましょう。
【業種別】IVRの導入事例
IVR導入によりコールセンター業務の改善を実現した事例を、業界別に見ていきましょう。
【モバイル送金・決済サービス】LINE Pay株式会社
メッセージアプリとして普及しているLINEのモバイル送金・決済サービスを担う、LINE Pay株式会社の導入事例です。こちらでは、LINE Payカード顧客専用の電話窓口としてIVRを活用しているそうです。IVR電話窓口では、「通常のお問い合わせ」「カードの盗難・紛失された場合」「その他」のシンプルな3つのメニューで案内しています。
当初、LINE Payの問い合わせ窓口は、モバイルサービスという特性上、メールやLINE公式アカウントなどのオンラインサポートのみで対応していました。しかし、カードの盗難や紛失、提携クレジットカード会社のトラブル発生といった緊急時のカスタマーサポートとして、24時間の電話窓口を設置することになりました。
IVRの導入により一次対応を自動化することでオペレーター人件費のコストを削減するとともに、24時間対応により金融サービスとしてのサポート品質の向上や信頼性の獲得につなげています。
【総合商社】ハピネットグループ
玩具や映像・音楽ソフトなどを扱うエンタテインメント総合商社のハピネットグループでは、全国5,000店舗以上の取引先の問い合わせ窓口にコールセンターシステムとIVRを導入しています。
IVRでは、取引先からの電話番号によって「カスタマーサポートのオペレーター」と「各営業所の担当営業」に振り分けてつないでいます。これにより、顧客の目的に合わせた有人対応の最適化が実現し、営業所の電話応対業務の負担軽減にもなっています。カスタマーサポートへの入電では、IVRでどの選択肢を顧客が選んだかがわかるようになっていて、オペレーターの応対効率の改善にもつながっているということです。
【生命保険】日本生命相互株式会社
約1,400万人もの顧客を持つ日本生命の、外貨建保険などのサポートデスクにおけるIVR導入事例です。
為替に関するお問い合わせが多い中、IVRの音声合成機能により、本日の為替を自動応答でアナウンスすることを実現しています。また、電話の保留音として保険商品の利率も流しています。オペレーターの有人対応では、数字の言い間違いなどのリスクがありましたが、人的ミスの回避にもつながっており、このような定型的な回答の負担軽減は、オペレーターの業務負担の軽減も実現されています。
まとめ
多くのコールセンターが導入しているIVRについて、IVRでできること、またメリットと注意点についてご紹介しました。導入に際しては、顧客とオペレーター、どちらにとっても満足のいくものを選ぶことが重要です。業務内容に合ったシステムか、またどのくらい自社の運用に合わせたカスタマイズができるかなど、長期的な利用ができるかどうかを判断して、導入すべきシステムを検討することをおすすめします。
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楽テルコラム編集部
リスティング広告やFacebook広告の運用、プロダクトサイトのSEOなど、広くWEB施策に携わっています。前職では、世界トップクラスのシェアを誇るCRMシステムの導入支援を通して、様々な企業の業務改善に尽力していました。
楽テルのコラムではコールセンターやインサイドセールスにおける業務効率化・顧客満足度向上などの例をご紹介していきます!
好きな料理は「スパイスカレー」です。