コールセンターの目標設定とは?KPI7選とKPI設定のポイント5つについて解説
こんにちは!楽テルコラム担当です。
コールセンターの業務を効率化して業績を伸ばすには、目標設定を行うことで日ごろの業務進捗を定量的な指標のもと把握し改善することが大切です。その際には、目標達成のプロセスを明確化する指標「KPI」を設定して、適切に管理しましょう。今回は、KPI管理の重要性とCRMシステムを用いた目標設計のポイントをご紹介します。
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目次
なぜKPIの設定が重要なのか
KPI(Key Performance Indicator)は、「重要業績評価指標」という意味です。目標達成に至るまでのプロセスや達成度合いを計測するための定量的な指標ですので、「中間目標」のようなものと捉えましょう。例えば、コールセンターなら「1時間あたりの対応件数」や「平均通話時間」などが挙げられます。
KPIを設定しなければ、目標達成に向けて適切な行動を取れているか、目標達成に近づけているかなどの観測が曖昧になってしまいます。そこでKPIによって過程の成果を数値化すれば、目標に対する現在の進捗、達成度合いを把握でき、かつ問題点が可視化されるためPDCAサイクルを効率良く回せるのです。
さらに、KPIを設定すれば企業や部署、チームの方向性がはっきりと定まり、「目標を達成するためにどのような施策を打ち出せばいいか」というように課題を洗い出して検討と改善を繰り返すことが可能です。また、従業員間での意思疎通が図りやすくなったり、仕事のパフォーマンスが向上したりといった効果も期待できるため、良好な業務環境のもとで目標達成を目指せます。
KPIの設定にはKGI・KFSの設定も必要
KPIと密接な関係にあるのが、「KGI(Key Goal Indicator)」と「KFS(Key Factor for Success)」です。KGIは「重要目標達成指標」という意味で、“最終目標の数値”を指します。一方KFSは「主要成功要因」という意味で、“KGIを達成するために必要な要因”のことを指します。
なお、KFSは「KSF(Key Success Factor)」と呼ばれることもある他、CSF(Critical Success Factor)ともほとんど同じ意味で使われます。
KPIを設定する際は、「KGI → KFS → KPI」の順番で決めましょう。KGIが定まると、目標達成のために必要なKFSが見えてきます。KFSはKGIを目指す上で道標のようなものなので、正しいKFSを定められれば迷走することなくゴールまで突き進めます。
さらに、KFSはKPIの達成にも大きく関係します。KPIはKFSを数値化したものなので、仮に設定したKFSが間違っているとKPIは達成できなくなります。つまり、KPIの達成を叶えるためには、KGI、KFS、KPIと逆算しながら詰めていくことが望ましいのです。
KPI設定の5つのポイント
KPIの設定では、以下の5つのポイントに留意しましょう。なお、これらのポイントはアルファベットの頭文字から「SMART」と呼ばれています。
1.目標は明確か(Specific)
KPIでは、誰が見ても達成したかどうかが明確に分かる項目を設定することが大切です。例えば、「成約率」や「顧客訪問件数」「不良品の発生率」などの項目は現場の人間にも分かりやすく、また数値化しやすいため適切です。
2.測定可能か(Measurable)
KPIは、件数や回数のように測定結果が数値化しやすい項目を選びましょう。例えば、「発注件数」や「販売数」などが挙げられます。
3.達成可能か(Achievable)
KPIは個人評価につながりやすいもので、かつ頑張れば目標を達成できる項目を設定しましょう。例えば、「契約販売数」や「新製品の注文数」などが挙げられます。目標を達成できれば仕事に対しての自信がつき、また現場のモチベーションアップにもつながります。
4.関連付けは適切か(Relevant)
先にも述べましたが、KPIとKFS、KFSとKGIは相互に強く関係しているため、適切に設定しなければ目標達成には至りません。そのためKPIを設定する際は、KGIやKFSの目標と関連付いているかをしっかりと確認しましょう。
5.期限は設定したか(Time-bound)
KPIを定める際は、達成する期限を明確に設定しましょう。KPIは「いずれ達成できれば良い」というものではありません。「いつまでに達成する」と期限を設けることで、現実的で具体性のある行動を起こしやすくなります。
関連記事はこちらカスタマーサクセスで見るべきKPIって?KPI設定で注意すべきポイントとは
コールセンターで重要な7つのKPI
以下の5つは、コールセンターにおける重要なKPIです。それぞれの重要性やポイントをご紹介します。
1.AHT(平均処理時間)
AHT(Average Handring Time)は1回のコール対応にかかった時間のことで、平均通話時間と平均後処理時間を合計して算出します。コール対応はコールセンターの中心的な業務なので、AHTの無駄をなくせば工数削減が期待できます。目標達成のためには、コールフローのマニュアル化や簡略化が重要です。
コールセンター業務を効率化したい方はこちらもご覧ください
関連記事はこちらコールセンター業務を効率化するための3つの指標『AHT・ATT・ACW』とは
2.応答率
応答率は、オペレーターにつながったコールにどれだけ対応できたかを示す数値です。応答率をKPIに設定することで対応できなかった顧客を減らし、サービスの質を高められます。
一方、オペレーターにつながる前に顧客が電話を切ると「放棄呼」という扱いになり、応答率の低下につながります。しかし、ショートアバンダン(短時間での放棄)は「相談する上で必要な書類の用意を忘れた」「後で電話をかけ直すことにした」など、顧客側の都合で電話が切られた可能性が高く、これらを放棄呼にカウントすると正確な数字が出せません。そのため、5~10秒以内に切られた放棄呼は応答率に含めないこともあります。
放棄呼への対策を行って応答率を上げたいという方は、こちらの記事もご確認ください。
関連記事はこちら放棄呼とは?コールセンターの放棄呼率を改善する6つの方法
3.CES(顧客努力指標)
CES(Customer Effort Score)は「顧客が自身の問題を解決するために要した労力」を示す指標であり、コールセンターでは「顧客がどれだけ楽に課題や問題を解決できたか」を測定する指標として扱われます。
CESはアンケート形式で行い、顧客に7段階で点数を付けてもらうことで算出します。CESを計測すれば顧客がコール対応のどこにストレスを感じているかを把握できるため、課題を明確化し、改善することが可能です。
4.NPS(正味推奨者比率)
NPS(Net Promoter Score)は顧客ロイヤリティを数値化する指標で、企業の業績を上げるために重要なKPIです。
NPSを算出するためには、顧客へ「商品やサービスを家族や親しい友人にどれだけすすめたいか?」とアンケートを取り、0~10で点数を付けてもらいます。6点以下は批判者、7~8点は中立者、9~10点は推奨者と分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いたものがNPSとなります。
NPSが高ければ高いほど顧客は商品やサービスを利用し、親しい人へ広める傾向があります。応対品質の良さはNPSの向上につながるため、研修を行ったりシステムを導入したりと工夫が必要です。
5.モニタリングスコア
モニタリングスコアとは、SV(スーパーバイザー)がオペレーターのコール対応をモニタリングし、コールの品質を評価することです。オペレーターの応対スキルを効果的に測れる上、応対に対する顧客の満足度も把握できるので重要なKPIのひとつになり得ます。
6.ACW(平均後処理時間)
ACW(After Call Work)とは「平均後処理時間」とも呼ばれる指標で、オペレーターがコール対応後に行う様々な作業時間の平均値を表すものです。後処理に相当するタスクとしては、顧客からの要望を解決するための手続きや通話ログの入力、VOC(Voice of Customer)の記録などが該当します。ACWに相当する時間は「次のコールを処理できていない」時間でもあり、稼働効率を下げる要素のひとつと考えられます。そのため、ACWを現状より短縮することをコールセンターのKPIとして設定し、オペレーションの最適化により効率化を目指すことも可能です。ただ、通話の後処理はオペレーターごとのスキルや作業方法によってバラつきが生じやすい作業であるため、闇雲に作業スピードの上昇を求めるばかりでは成果向上につながりません。重要なのは、各オペレーターの業務フローを見直し不必要なデータ入力や手続きを廃するようなルールづくりを行い、後処理関連の作業を仕組み化することです。
7.稼働率
コールセンターにおける稼働率とは、各オペレーターの総業務時間のうち、顧客対応時間が占める割合を表す指標です。オペレーターの人件費のうち、何割が純粋に顧客対応に関する業務に使用されたかを求めるための指標とも考えられます。オペレーターの稼働時間は、顧客対応にまつわる業務を実行する「生産時間」と、研修やミーティングといった顧客対応以外の業務を実行する「非生産時間」に大別されます。このうち生産時間の割合を増やしていくことが、稼働率というKPIを追求する動きになります。とはいえ、稼働率は闇雲に向上させればよい指標ではありません。非生産時間に該当する業務には、オペレーターの教育や業務に関するミーティング、顧客対応へのフィードバックなどコールセンター運営において必須となる要素も含まれています。そのため、非生産時間に相当するタスクの要不要を見極めつつ、生産時間をさらに効率化するためのプロセス管理を行うことが重要です。実業務における生産時間と非生産時間のバランスを適切に保ち、オペレーターの応対品質を下げることなく効率向上を目指すような目標設定が、コールセンターを円滑にマネジメントする上でのポイントとなります。
KPIは「見える化」することが重要
KPIは、全体で目標を共有・確認できるように「見える化」することが大切です。例えば、目に付きやすい場所に掲示することも有効な手段のひとつ。「見える化」によって視覚的にアプローチすれば、常に目標を意識しながら業務を進められます。また全ての従業員が同じ目標を追うことで、従業員間での知識や情報、進捗の共有が行いやすくなる、問題点や課題点の洗い出しがスムーズになるなど、目標達成に向けた行動改革を後押しできるのです。
しかし、全ての従業員がKPI設定を前向きに受け止めてくれるとは限りません。仮に、多くの合意を得られないまま推し進めると、情報が集まりにくくなる、目標をクリアできない、従業員のモチベーションが低下するといった問題が発生する可能性があります。そのため、KPIを設定する際は従業員の意見を聞き、進むべき方向性を一致させることが重要です。
さらに、KPIの見える化はCRMシステムの機能を活用することをおすすめします。CRMシステムの機能のひとつである「数値の一覧表示機能(集計機能)」を使えば、システム上で簡単にKPIを視認できるようになります。システムによってはCSVやExcelなどの表形式でインポートやエクスポートすることも可能なため、別のシステムとデータを連携したり、印刷して張り出したりといったことも簡単に行えます。
KPI設計は従業員に『翻訳作業』をする意味がある
企業の目標を全ての従業員が共有・認識できるように、見える化することがKPI設定の役割です。いわば、従業員自身のやるべきことを明確にする『翻訳作業』ともいえます。
例えば、「コールセンターの顧客満足度を上げなさい」と漠然と大きな目標を指示されても、オペレーターにとっては自分の業務をどこから改善していくべきなのかが分かりません。「1ヶ月の間にこのチームの応答率を10%引き上げましょう」といったように、具体的な数値で一人ひとりのタスクにつながるKPIを設定すると、改善すべき業務に意識をフォーカスして自ら行動することができます。
ひとつの業務で結果が出ると達成感が生まれモチベーションも向上するので、その他の業務にも改善意識が芽生えて、おのずとコールセンター全体の品質向上につながっていくでしょう。惜しくもKPIが未達となった場合でも、設定値からどれくらい不足しているかが明らかなので、次なるステップでの改善策が探りやすくなります。
また、SVなどコールセンターを管理する立場としても、KPIの達成度によってチームや個人の能力が可視化できるので、正当な評価をするための基準のひとつにすることができます。客観的な成果が見えるのでチーム間や個人間の相乗効果も呼び起こすでしょう。こうした点からも、コールセンター全体のゴール達成への近道となります。
関連記事はこちらコールセンターのKPIは応答率?応答率の落とし穴もご紹介
KPIを設定してコールセンターの業績をアップしよう
KPIを設定すれば、企業やチームの目標を具体化できます。ただしKPIは設定するだけではなく、結果や課題を共有して改善することも重要です。
コールセンターにCRMシステムを導入すれば、集計したKPI数値をタイムリーに閲覧できたり、別のシステムと連携したり、アウトプットして掲示もできるので、結果や課題を共有するのに役立ちます。また、業務が数字で表れるとオペレーター一人ひとりの意識改革につながりさらなる効率化も期待できます。ぜひ、CRMシステムを活用してコールセンターの品質向上を目指してください。
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楽テルコラム編集部
リスティング広告やFacebook広告の運用、プロダクトサイトのSEOなど、広くWEB施策に携わっています。前職では、世界トップクラスのシェアを誇るCRMシステムの導入支援を通して、様々な企業の業務改善に尽力していました。
楽テルのコラムではコールセンターやインサイドセールスにおける業務効率化・顧客満足度向上などの例をご紹介していきます!
好きな料理は「スパイスカレー」です。