PDCAの効率的な回し方って? 企業の成功事例もご紹介
こんにちは!楽テルコラム担当です。
企業の業績向上や業務の効率化の手段として、PDCAサイクルがあります。日本でも広く浸透している手段であり、すでに導入しているという企業も多いでしょう。しかしその一方で、「導入したけど思うように成果につながらない」「そもそもPDCAサイクルがどのようなものなのかよくわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はPDCAサイクルとはどのようなものかをご説明した上で、効率的に運用する方法や事例などをご紹介します。
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目次
PDCAサイクルとは?
PDCAとは、業務の効率化を行う際に取るべき4つの手順の頭文字を並べたものです。具体的にはPlan(計画する)、Do(実行する)、Check(評価する)、Action(改善する)の4つがそれぞれのステップです。単に「PDCA」ではなく「PDCAサイクル」と表現することからもわかる通り、これらは好きな順でバラバラに行うのではなく、PlanからActionまでを順番に行うことを1サイクルとしてとらえています。そのため、例えば計画を立てて実行に移しても、その結果のどこが良かったのか、または良くなかったのかを評価しなければ、改善にはつながらないのです。良かった結果も偶然の産物となり、悪かった結果は原因がわからず再発の可能性が残ります。PDCAサイクルでは、改善まで行うことで初めてその効果を得ることができます。しかも、このサイクルは1度取り組んで終わりというものではなく、改善の後でまた計画に戻る、といったように何度も何度も繰り返すことで、さらなる効果を発揮できます。
PDCAサイクルのメリット
PDCAサイクルを導入する3つのメリットについて解説します。
目標が明確になる
PDCAサイクルを回すことによって、目標が明確になるというメリットがあります。
定量的な指標を用いて行われるPDCAサイクルは、組織や個人が達成しなければならない目標をわかりやすくあらわし、目標を達成するための具体的な行動を取りやすくする効果が期待できます。
目標達成に向けて効率的に取り組める
目標達成に向けて効率的に取り組みやすくなることも、PDCAサイクル導入のメリットのひとつです。
PDCAサイクルにおいては「Plan(計画)」のフェーズで最終的に達成したい目標や具体的な行動計画を決めておくため、目標達成に向けて自分や組織がどのような行動を取らなければならないのかを明確にできます。
効果改善が容易になる
効果改善が容易になることも、PDCAサイクル導入のメリットです。
PDCAサイクルでは事前に定量的な指標や具体的な行動計画を設定し、目標達成に向かって行動していきます。そのため、目標に対する達成率が可視化され、目標と結果のずれも把握しやすくなります。
結果的に、どのように行動を改善すれば目標達成に近づけるのかを見出しやすくなるという特徴があります。
PDCAサイクルを効率的に回す方法
先程もご紹介した通り、PDCAサイクルは何度も何度も回すことでより高い効果を生み出すものです。ですから、サイクルを途切れさせず、迅速かつ効率的に回し続けることが大切です。しかし実際には、実行したまま放置し、それを評価しないまま終わってしまった、もしくは改善策は考えてみたものの腰が重く次の計画に繋がらなかったというように、サイクルが途切れるという事態も起こります。
そこで今回ご紹介するのは、PDCAサイクルを途切れさせることなく効率的に回し続けるためのポイントです。
P (Plan/計画)
- 期限と目標(ゴール)を具体的な数字で示す
- 現状とのギャップを把握する
- ギャップが生まれた原因を探る
- 解決すべき課題を取捨選択する(優先度の低いものは省く)
- 課題解決の達成度を指標化(=KPI)する
- 解決策(仮説)を想定する
D (Do/行動)
- 解決策(仮説)を「Do/行動」の形に置き換える
- 「Do/行動」に優先順位をつける
- 「Do/行動」の達成率を具体的にする
- Todoリストにする
- 実際に行動する
C (Check/評価)
- 目標(ゴール)の達成指標を調べる(KPIの計測)
- 「Plan/計画」の達成指標を調べる(KPIの計測)
- 「Do/行動」の達成指標を調べる(KPIの計測)
- 達成に至らなかった原因を突き止める
A (Action/改善)
- 指標の評価結果を踏まえ、改善策の仮説を立てる
- 改善策に優先順位をつけて、実行する
PDCAが上手くいかないケースとは
PDCAが上手くいかない理由として考えられるポイントは複数あります。ここでは、PDCAが上手くいかないケースを4つご紹介します。
PDCAのサイクルが遅い
ビジネスを取り巻く環境は、時々刻々と変わっていくものです。PDCAサイクルに時間をかけすぎてしまうと、その間にそもそもの課題や原因が変わってしまうことがあります。「計画」を長時間考えているだけでは「行動」に移せません。さらに、「評価」に時間がかかってしまうと次の「改善」の時を逃してしまうでしょう。PDCAは、スピーディかつ効率的に回すことが重要です。
「計画」の立て方が甘い、または難易度が高すぎる
PDCAの軸となる「計画」が綿密に立てられているかどうかで、成果が変わってきます。PDCAが上手くいかないという方は、計画が「願望」になっていないか振り返ってみましょう。
例えば「応答率を増やしたい」という望みがあるならば、「応答率を前期より10%増やしたい」のように数値目標を取り入れた明確なものにします。そうすれば次にどのように「行動」すれば10%の応答率増が見込めるかが推測しやすくなります。
この数値目標を高く設定しすぎると、計画倒れになることもあります。適切なハードルを設定し、意欲的に取り組める計画を立てることが重要です。
「評価」「改善」をしっかり行わない
行動を振り返る習慣がないという方は、PDCAが上手く回らないことが多いでしょう。行動に対する「評価」がないと成果のほどは確かめられませんし、「改善」の方法も見出せません。たとえ行動が上手くいった場合でも、なぜ上手くいったのかがわからなければ次に同じ成果を得ることや成功例を社内で共有することができないため、業績につなげられません。
「改善」を急ぎすぎて、次の「計画」につなげていない
成果を求めるあまり、焦って「改善」しようとするのも問題です。目標数値を立てた場合に起こりやすいのが数字を達成させることだけに固執して、あの手この手で場当たり的に改善してしまうことです。それでは効率的とはいえませんし、本当に効果的な改善策が何であったかがわからなくなります。
明確な目標を立てる
PDCAサイクルを回し始める前に、それを行おうと思った動機、明確な目標を用意する必要があります。例えば計画を実行して顧客が増え、売り上げは減少したという結果があるとします。この時、設定した目標が「顧客を増やす」であれば、この計画は成功したと言えるでしょう。しかし「売り上げを伸ばす」ということが目標として立てられた計画ならば、この取り組みは失敗という結果になります。
この例のように、事前に立てた目標によってサイクルの「評価」と「改善」「計画」の内容は大きく変わります。目標が明確に設定できていればこの軸がブレてしまうことはないですが、あやふやなままサイクルをスタートさせると、評価や改善も定まらず、効果を実感できない状態になります。このような事態を防ぐためにも、PDCAサイクルを回し始める際には明確な目標を立ててください。
無謀な計画は立てない
PDCAサイクルは、何度も回すことでその効果が発揮されます。そのため、初めから大きすぎる計画は必要ありません。むしろ小さな計画を何度も繰り返すことで、より大きな計画に進んでいくというイメージを持つことが大切です。一番初めの段階で無謀な計画を立ててしまうとモチベーションは続かず、サイクルも途切れてしまう要因になりかねません。
履歴を記録する
PDCAサイクルでは、実行した内容、上手くいった点、課題が残った点などを、記録しておくと効果的です。過去の記録は評価や改善の段階で、今回のサイクルがどうであったかについて振り返る時に使います。なんとなく取り組み、感覚的に改善していては汎用性がなく、効率も悪くなります。サイクルを無駄にしないように、また途切れさせないようにするためにも、記録は非常に大切です。
PDCAでの成功事例
PDCAに取り組み成功した、3つの具体的な事例をご紹介します。
無印良品
PDCAに取り組む前、現状調査から「スタッフ一人ひとりが培ったノウハウが本人しかわからないものになっているために、業務品質にムラが出ているのではないか」という仮説が立ちました。
そこで「計画」として経理や店舗など職種ごとの業務内容をマニュアル化し、すべてのスタッフが共通のノウハウをいつでも閲覧できるようにしました。
次に、マニュアルに基づいた仕事のやり方をすべてのスタッフが「実行」し、実務の中でのそのマニュアルの「評価」につなげました。ここで実際にマニュアルの通りに行動して感じたことや気づきを社内ネットワーク上でスタッフに共有してもらい、随時「改善」を重ねていきました。
このようなPDCAをいくつも稼働させながらマニュアルの完成度をあげていき、スタッフ自身が当事者意識をもって取り組んだことで、6年間で売り上げを1.5倍に引き上げることができたそうです。
トヨタ自動車
トヨタ自動車では、「ムリ・ムダ・ムラ」をなくすために「トヨタ生産方式」というPlan(計画)を策定し、車を短い期間で製造するための体制を整えました。
続いて、Do(行動)フェーズで必要なタイミングで必要な数量を製造する「ジャストインタイム」を導入し、異常を検知した際に不良品を製造し続けないように機械を自動的に停止させる自動化システムも採用しています。
Check(検証)のフェーズにおいては、不良品が検知されたりトラブルが起こる兆候があったりしたタイミングですぐに稼働を停止し、現場の管理者と作業員が一丸となってトラブルの「検証」に取りかかります。
最後のAction(改善)のフェーズでは、現場の作業員が協力して改善提案を行い、取り入れられそうな提案をすぐに採用するというPDCAサイクルを確立しています。
ソフトバンク
ソフトバンクでは、Plan(計画)の段階で「大きな目標を立ててから、それを達成するための小さな目標を立てる」「小さな目標は、日・週・月の細かい単位でチェックする」という方針を取っています。
Do(実行)フェーズでは、複数商品を同時に試して比較・検討効果を向上させるといった取り組みを実施しています。
Check(検証)に関しては基本的に毎日行っており、個人の目標であっても日々検証を欠かしません。上手くいった部分とそうでなかった部分を明確にし、翌日から改善できるような体制を構築しています。
Action(改善)フェーズにおいては、自分が取り組んだ中で最も効果が高かった方法をさらに改良するなどの方法を取り、PDCAサイクルの効果を高めています。
PDCAサイクルとCRM
CRMは、コールセンターにおけるPDCAサイクルを効率的に回し続けるにあたり、非常に有効なシステムです。PDCAサイクルでは「Check(評価する)」の部分が一番重要と言われており、「Plan(計画する)」「Do(実行する)」のフェーズの後の”現状把握”がしっかりできているかが、サイクルを有益にする最重要ポイントです。CRM上に現在進行中の顧客に対するアクションを記録として残していくことで、現状把握が容易となり、効率化につながります。例えば、対応時間を記録することで、PDCAを始める前の対応時間と、Check(評価する)時の対応時間を比べて、Do(実行する)によってどれだけ対応時間の短縮ができたかを比較することが容易になります。PDCAサイクルを効率的に回し続けるには現状把握を正確かつスピーディに行うことが不可欠ですが、CRMはその役割として非常に相性が良いシステムだといえます。
関連記事はこちらコールセンターマネジメントで効率的なPDCAを!生産性を高める秘訣をご紹介
まとめ
今回は、PDCAサイクルの説明と効率的にサイクルを回し続けるためのポイントについてご紹介しました。「導入してみたが結果がともなわなかった」という方も、今一度ポイントを見直した上で取り組んでみると良いでしょう。履歴の記録などが業務の負担だと感じる際は、CRMを導入することで入力作業の効率化も期待できるので、現状把握にかかる時間も短縮され、その結果、効率的にサイクルを回すことができます。途切れさせず迅速にPDCAサイクルを回し続けるために、CRMの導入を検討してみることをおすすめします。
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楽テルコラム編集部
リスティング広告やFacebook広告の運用、プロダクトサイトのSEOなど、広くWEB施策に携わっています。前職では、世界トップクラスのシェアを誇るCRMシステムの導入支援を通して、様々な企業の業務改善に尽力していました。
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好きな料理は「スパイスカレー」です。